演習を横断して繰り返し現れる引っ掛けの型
収録演習の引っ掛けは、演習ごとに題材こそ違うものの、受験者が足を取られる筋は共通しています。ここでは、演習を横断して繰り返し現れる失点の型をまとめます。解き終えた演習の解説にある「紛らわしい選択」と照らし合わせながら読むと、自分がどの型で失点しやすいかが見えてきます。
字面の派手さに反応する
事故や病気を思わせる言葉、SNSへの投稿、「安全」の語など、強い言葉を含む案件は、それだけで重大に見えます。しかし資料を読み切ると、すでに応急の手が打たれていたり、実害が出ていなかったりすることが少なくありません。言葉の強さは緊急度の根拠になりません。手当の有無と被害の進行という事実で判定してください。
締切があるだけで上位に置く
定型の事務連絡や任意の協力依頼にも、締切は付いています。締切があること自体は、優先する理由になりません。また、締切がいちばん近い案件がいちばん重いとも限りません。締切の効かせ方は「今日動かないと取り返しがつかなくなるか」です。期限は来週でも、調整に日数がかかるため今日着手しないと間に合わない、という案件もあります。
金額や声の大きさで測る
大口の商談や、強い口調の苦情は目を引きます。しかし金額の大きな商機より、金額は小さくても法令に触れる不可逆な事案のほうが重いことがあります。受けられない依頼は、根拠の数字を確かめたうえで断り、出せる範囲の代案を返す。それも評価される打ち手です。
引継ぎメモを関連資料に塗る
引継ぎメモ(決裁権限の目安)は、誰が何を決められるかを示す判断材料であって、案件の緊急度や被害の裏付けではありません。対応方法を考えるうえでは欠かせない資料ですが、優先順位の根拠となる関連案件には含めません。ここを塗ってしまう失点は、どの演習でも起こりやすい型です。
悪い知らせで確定を待つ
「結果が確定してから正確に伝えるほうが誠実だ」という考えは、しばしば裏目に出ます。確定を待つ数時間が、相手の準備の時間を奪うからです。悪い知らせほど、見通しの段階で一報を入れ、続報で更新します。事故や漏えいでは、当日中や30分以内といった一報の期限を規程が定めていることも多く、その場合は報告そのものが最優先の初動になります。
疑いの段階で決めつける
部下の不正の疑いや引き抜きの噂など、人に関わる案件は、決めつけて動くと関係を壊し、不問にすると再発を許します。正しい温度感は「急いで、しかし静かに」です。確かめる範囲を最小に保ち、記録の突き合わせと本人への確認で確度を上げてから、上へ報告します。
一次対応と決裁の階層を混ぜる
目の前の一次対応は自分が担い、契約条件の変更や部下の処遇といった専決を超える判断は上申する。この階層の切り分けを崩すと失点します。現場で約束してしまえば会社の方針と食い違い、逆にすべてを上へ回せば、権限があるのに使わない判断の遅れとして減点されます。引継ぎメモで自分の専決範囲を確かめ、範囲内は即断、範囲外は事実を整えて上申、と使い分けてください。
各演習の解説には、その演習の「紛らわしい選択」が誤答の理由付きで載っています。解き終えるたびに、自分の失点がこのページのどの型に当たるかを確かめると、次の演習に持ち越せる学びになります。