インバスケットの合格率と合格ラインを当てにしない理由

何割取れば受かるのか。どれくらいの人が落ちるのか。昇格試験が近づくと、まずこの二つが気になります。
社内で耳にした数字とネットで見た数字が食い違っていれば、なおさらです。数字さえ分かれば、どれだけ準備すればいいかも決まるような気がしてきます。
インバスケットの合格率と合格ラインは、公表されていません。ネットに出回っている数字にも、出典はありません。
数字を探す時間は、評価される中身を磨く時間に回しましょう。準備の的は、そちらに絞るべきです。
インバスケットの合格率は公表されているのか
公表されていません。
使われ方も会社によってさまざまです。結果を参考程度に扱う会社もあれば、昇格判定の大きな柱に据える会社もあります。面接などと組み合わせて、総合で決める運用もあります。
自分の会社でどう扱われるかは、自分の会社で確かめるしかありません。人事や、受かった先輩に聞くのが確かな手です。
なぜネットの数字は当てにならないのか
どの会社の、いつの、何人が受けた試験の話なのかが、どこにも書かれていないからです。
数字は確かに出回っています。ところが並べてみると、桁が違うほど食い違います。どれも出典が示されていません。
別の会社の数字を自分に当てはめても、準備の目安にはなりません。数字を見かけたら、次の三つを確かめましょう。
- どの会社の試験か
- いつの試験か
- 何人が受けた結果か
この三つが書かれていない数字は、読み流して構いません。自分の準備の量を決める材料にはしないことです。
社内で耳にする数字は、会社が同じぶん、ネットの数字よりは近いと言うことができます。それでも、誰がどの年の結果から出したのかは分かりません。去年の数字が今年も通用するとは限らないのです。
先輩に聞くなら、何割受かったかより、何を重く見られていたかを聞きましょう。そのほうが準備にそのまま使うことができます。
数字を気にするなら、インバスケットが難しく感じられる理由を先に押さえておくほうが、準備の役に立ちます。
合格ラインは何点なのか
決まった点数は公表されていません。ネットで見かける点数も、根拠の示されていない主張です。
点数を目標にしても、的は定まりません。
もう一つ、全件を完璧に仕上げようとすると、時間が尽きます。優先する案件の質に時間を回すほうが、筋のよい解き方です。時間配分の考え方を先に決めておくほうが、点数を追うより筋のよい準備です。
数字が無いなら何を目安に準備するのか
自分の解答が、模範の考え方にどこまで近づいているか。これを目安にします。
数字が分かれば準備の量が決まる、と考えるのは自然です。
しかし準備の量を決めるのに必要なのは、受かる人の割合より、自分の解答と模範との距離です。準備の量は、この距離を見ながら決めましょう。距離が縮まらないまま演習の数だけ増やしても、同じずれを繰り返しやすくなります。
インバスケットは、地頭や知識の量より型を問う試験です。型は練習で身につきます。見るべき点は、次の三つに絞ることができます。
- 優先順位。文章の長さや、書き手の声の大きさで決めていないか。放置したら誰が何を失うかで決めているか。
- 担当と処理。案件ごとに、組織図の誰に、どの処理をさせるかを選べているか。自分の権限を超える案件を、上申せずに進めていないか。
- 根拠の抜け漏れ。根拠の資料を選ぶとき、その案件だけでなく、ほかの資料とのつながりまで拾えているか。
最初に手を付けるなら、優先順位です。順位を誤ると、担当と処理をどれだけ正しく選べても、肝心の案件に時間が残りません。順位を先に固めてから、担当と処理、根拠の抜け漏れに手を広げていきましょう。
担当と処理でいえば、取引先から納期の遅れについて苦情が来た案件で、自分で先方に電話をかける処理を選びたくなることがあります。
そこで営業課の主任を選び、お詫びの連絡と結果の報告をさせる処理を選ぶ。管理職の答えは、自分で片付けることより、誰に何をさせるかです。
よくある失点の型はインバスケットで点を落とす典型にまとめてあります。
独学でいちばん困るのは、自分の解答が合っているかを確かめられないことです。一人で解いて、一人で読み返しても、ずれには気づきにくい。
本サイトが提供しているインバスケット演習では、架空の会社の資料を読んで優先順位と処理を選ぶと、提出したその場で採点されます。模範解答と根拠の解説が並ぶので、自分の優先順位がどこでずれたかを、重要度と緊急度のマトリクスの上で見比べることができます。演習1を時間を計って解くと、模範との距離がそのまま見えてきます。
練習は、次の手順で回しましょう。
- 時間を計って、一つの演習を解き切る。
- 模範解答と並べて、優先順位・担当と処理・根拠の資料の三点で差を書き出す。
- 次の演習で、同じ差が縮んだかを確かめる。
差を書き出すときは、分かっていたのに選び切れなかったのか、そもそも気づかなかったのかを分けておきましょう。前者は時間の使い方の問題で、後者は資料の読み方の問題です。直し方がまったく違います。
同じ差が二回続けて出なくなったら、次の点に移る合図にしましょう。
前回の結果が振るわなかった人は、落ちたあとに見直すことから始めると、差の出どころを探しやすくなります。
試験の全体像から確かめたい人は、インバスケットの基本を読んでおくと、三つの見る点がどこから来ているかが分かります。


